婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「そうなの、ほら、結婚って言ってもまだ時間あるし。
慧の事をもっと知ってもらいたくて」
両手をパチンと叩きながら上機嫌で言う奥さま。
その横で何度も頷く社長。
「お世話係って・・」
そんな事言われたって・・
「あの、社長、お言葉ですが実は私結婚を」
「え~~?もうそこまで考えてくれてるの??」
・・・
「は?」
「母さん楽しみだね、二人の結婚式」
あ、あのちょっとお二人さん!?
「やっぱりウェディングドレスかしら?」
「いやいや、白無垢だってきっと似合うはずだよ」
この二人は一体何をそんなに盛り上がってるの?
これ以上は誤解を招かないように
ここはやっぱり
「あの、社長!!あたし」
「片桐くんはどう思う?」
「葵さんはどう思う?」
どうって・・
「そりゃあやっぱりウェディングドレスには憧れますけど」
ってそうじゃなくて!!
「やっぱり~女の子だもの、当然よね」
「いや、そういう事ではなくてですね・・」
あたしの声に全く耳を貸さず、どんどん進んでいく結婚話。
この二人、全く人の話を聞かない人達だったのね。
「君の慧に対する気持ちがどんなものか分かったよ。
やはり慧の世話を君に任せたい」
キラキラした瞳の社長があたしの手をぎゅっと握ってきた。
「葵さん、慧の事お願いね」