婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
あたしの声と重なった甘ったるい声。
その声に一度振り向いた慧が
「ちょっと待ってて」
あたしにそう笑顔を向けると
今度は面倒そうな顔をして女の子に
「何」
冷たく言い放った。
その声を聞いて、その顔を見て驚く。
これが慧なの?
こんな冷めた顔をするの?
こんな冷たい、声を出すの?
「ごめん、お待たせ」
満面の笑みでほほ笑む女の子は
そう言って慧の腕に自分の腕をからませた。
「・・・」
あたし、邪魔だったかな
きっとこの二人付き合ってるんだ。
そう思うとどうしてだろう
胸がちくんと痛い気がする。
「悪いけどさぁもう邪魔なんだよなぁ」
あぁ、やっぱり・・
「そうだよね、ごめ」
そこまで言ったあたしに
「俺、葵と結婚するからさ」
ぐいっと肩を抱かれて
あたしの頭が慧の胸にすっぽり入る。
「え?」
「は?」
慧の行動に驚いたのはあたしだけではなく、
もちろん彼女もで。
二人同時に声が出てしまった。
「だからさ、もうあんたとの関係もなかったということで」