婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「慧?」
突然の言葉に振り向くと
何故か寂しそうな顔をして笑って
再び窓の外へと視線を移した。
一体この子はいくつ顔を持っているんだろう。
笑ったり
悪戯っぽい悪魔のような顔をしたり。
そうかと思えば冷たい、
突き放したような顔をするし。
そして今はそんな風に寂しく笑う。
ねぇ慧?
慧の顔は一体どれなの?
あなたの
本当の顔は
何処にあるの?
「そ、そう言えばさ、お世話係って
あたし何すればいいのかな?」
取り敢えずこの空気をどうにかしたくて
話題を変えてみる。
「ん~、葵に勉強は無理そうだし・・」
「ちょっと何それ!失礼な!!」
そりゃあ確かに勉強は苦手だけど
「あはは、うそうそ!冗談」
怒るあたしに笑顔で返す。
さっきのはあたしの見間違い?
「じゃあさ」
慧が突然手招きをする。
来いって事だよね?
慧の近くに移動すると
「葵は俺の癒し役って事で♪」
「うわ!」
がばっとあたしを抱きこむ慧。
「それじゃあお世話役にならない」
「いいんだよ、葵がここにいてくれればさ」
「着きました」
そうこうしているうちに
運転手さんが車を出てあたしと慧が座っていた
後部座席のドアを開ける。
「ここって」