婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「しまった、完全に遅刻だよ~!!」
慧の運転手さんに亭国ホテルまで送ってもらい、
ダッシュで予約していたレストランまで急ぐ。
これから響汰と響汰のご両親に会うっていうのに
どうしてかな
慧と過ごした時間が頭から離れない。
高校生とは思えないくらいがっしりした体も。
長い腕も。
温かさも。
別れてから大分経つのに
今でもまだ残ってる。
あたし、いつからこんな
「情けない」
本当に情けない・・
年下にここまでやられちゃうなんて・・
「お待たせして申し訳ありません」
ウェイターさんに案内された席に着いて
すぐに頭を下げて必死に謝る。
目の前には厳しい顔をしてあたしを見ている響汰のお母様。
そうだよね
予約の時間を1時間も過ぎてしまってる。
もう完全に社会人失格だよ・・
「いいんだよ、仕事だろ。気にすんな」
響汰はそう言ってくれたけど。
「葵さん。いくら仕事といえど
約束した時間に来られないってどういうことなの?」
冷たい声が耳に入ってくる。
「社会人としての常識はないの?」
「母さん」
「あなたが結婚したいっていうから態々忙しい中来たのに」
「申し訳ありません」