婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「あおい~!!」
次の日。
こちらにやってくる慧はいつもと
変わらない笑顔をあたしに向けた。
昨日の事なんかなかったのかのような
覚えていないような態度。
「慧、お疲れ様でした」
今日も校門で待つあたしに
「ただいま、葵」
満面の笑みであたしに抱きついてくる。
離して、なんて言えない。
昨日は慧のおかげで助かったんだから。
「慧、昨日は」
ありがとう、そう言おうとすると
慧はあたしの唇に
人差し指を置いて二コリと笑った。
それが
その仕草がなんとなくだけどあたしを安心させる。
怒ってない、そう思えたから。
でも
それなのに・・
「・・・」
「・・・」
さっきまではあんなに笑顔いっぱいだったのに。
あたしに抱きついてきたのに。
車に乗り込むと窓の外だけを見る。
あたしを見る事はない。
どうしたの?
なんて聞かない。
ううん、
怖くて・・聞けない。
慧にもういらないって言われたら
あの子の、ユカちゃんのようにもう関係ないって言われたら・・
あれ・・どうしてあたし
怖いなんて思うの?
「ねぇ、葵」
慧がやっとこちらを向いてあたしの名前を呼ぶ。
「何?」