婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「俺も彼女でも作ろっかな」
・・何を言っているのか
今この人の口から聞こえてくる言葉は
全部本物なのか
全く理解できない。
あれ、あたし・・こんなに頭悪かったっけ?
「葵?」
「・・・」
「何、まさか今までの事、全部本気にしちゃった?」
・・本気じゃなかったの?
全部あたしをからかうためにやってたの?
ただあたふたしてるあたしを見て面白がってただけなの?
「冗談でしょ?あたしが慧みたいな子供はお断りなんだから」
大丈夫。
あたし、ちゃんと普通に言えてる・・よね?
声震えてない、よね?
「だよね~彼と幸せになんなよ。
あ、でも俺の癒し役はまだ続くからそこんとこ宜しく!」
ポンポン
響汰とは少し違う手があたしの頭を優しく撫でる。
「あ、いけない。会社に戻らなきゃ」
苦しい言い訳。
でも
今のあたしにはコレが精一杯。
「そっか」
「じゃあまたね。運転手さん。此処でいいです」
「かしこまりました」
運転手さんの言葉を聞いてすぐ、車が脇道に止まった。
早く
早く慧から離れなくちゃ。
「じゃあね」
少しでも大人の余裕を見せたくて
平気なフリして笑顔を作る。
「うん、またな」
バタン
ドアを閉めた瞬間。
「あ、れ?おか、しいな」