婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
50を超えたオッサンにこんなことを聞くなんてどうかと
思ったけど。
「さぁ、どうでしょうか。」
やっぱりな、大体返ってくる答えは分かっていた。
榊は今も独身を貫いている。
オッサンのわりに結構いいセンいってると思うんだけど。
身長は俺よりも少し小さいけど
でもそれでも日本人の平均身長はとうに超えてると思う。
それに年には見えないくらいの整った顔立ち。
「そっか」
「でも運命の相手だと思った人はいました」
バックミラーから俺を見る榊の目は何処か寂しそう。
「その人は」
「もうこの世にはいません」
寂しそうで
そして遠い昔を思い出しているかのような声。
榊が何故ずっと一人でいるのか
なんとなく分かったような気がする。
「慧様、人はいつ何が起きるか分からないものです。」
そう・・だよな
「人間後悔してからじゃ遅いんです」
後悔してからじゃ遅い・・か
「それに」
「それに?」
クスッと笑いながらこう続けた。
「こんな所で諦めるなんて、慧様らしくないですよ」