婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
泣いてる暇なんてあたしにはない。
そう決めつけて
必死に出てくる涙を何とか止めて
会社に戻る道を歩く。
ふと上を見上げると
空は段々夜に向かっていて。
ビルの間から指している太陽の色がさっきよりも
深いオレンジ色に変っている。
この時間帯でもまだ暑さを感じるのはきっと夏が近いせいだ。
慧と出会ってたった暫くもたっていないはずなのに。
季節が一つ終わって
新しい季節を迎えようとしている。
こんな事考えてるうちにどんどん老けていくのかな
なんて恐ろしい・・
歩いて数十分、何とか会社について
ウィーンと鳴る自動ドアを通ってエレベーターに向かう。
時刻はもうじき6時になろうとしている。
一応5時が定時。
そのせいかいつもの賑やかさは何処にもない。
あたしも早く戻って仕事片付けなくちゃ
そう思いながらエレベーターが下に来るのを待っていると
「葵!!」