婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
大きな、聞き覚えのある声が響く。
恐る恐る振り向くと
そこには
「あ~おい!!」
笑顔の慧の姿。
どうして?
どうしてここにいるの?
あんなひどい事言ったくせに。
あたしの事
からかっただけのくせに。
何かを言い返したかったのに
「ふん!!!」
出てきたのはそんな小学生みたいな言葉。
これって言葉っていうのか分からないけど。
でも今のあたしにはコレが精一杯。
だって何をどうしたらいいのか分からないんだもん!!
「葵、ごめん、俺」
何がごめんなの?
「葵?」
近付いてくる声に心臓がドキドキしているのが分かる。
こんな時にまであたしの心臓
おかしくなってんじゃないの??
「葵ってば」
「・・なによ」
蚊の鳴くような声で何とか返事をする。
「葵?」