婚約指輪を君に~恋した相手は17歳の王子様!?
「どうして会社に来たの?」
あの時別れたはずなのに。
慧の気持ちが分からない。
「謝りたかったから」
街灯なのか、月の明かりなのか
こんな夜でもはっきり見える慧の顔は
瞳は
どこまでもまっすぐで
しっかりとあたしをとらえている。
その視線に
あたしはただ見れずにきょろきょろしているだけ。
慧よりも大人なのに。
・・情けない。
「俺さ、本当は前から葵の事、知ってた」
「へ?」
前・・から?
「覚えてない?葵が彼にフラられそうって言っててさ」
あたしが・・フラれた日。
「あの日からずっと待ってたんだ。葵とまた会えるのを」
いつの間にか離れていた距離が近くなって。
あたしのすぐ前には慧の顔。
その距離に
慧の視線に
あたしの心臓はもう爆発寸前。
なのに、あたしの気持ちも知らない彼は
優しくほほ笑みながらあたしの右頬を優しく撫でる。
その手は少しだけ冷たいけど。
でも不思議といやじゃない。
「けい・・」