キススキ
本当は行きたくないけど...。


「そ、そうだね、怒られちゃうしっ。」

「んじゃ行くかぁっ」


あたしは

『戻る?』

の言葉が外山くんの口から出ることを、

恐れていたのかもしれない。


もっと話がしたかったのに。

そう思うと、

『戻る?』と言われたことに

すごくショックを受けた。




「仁ィ奈っ。」

「んー?」

「なにサボってんのよ」


お昼休み。

ウインナーをかじるあたしに、

耶弥が訊いた。


「かったるいもーん。授業でんの」

「あーぁ。いいよねぇ仁奈は...」

「なんのこと?」


耶弥はあたしと目をそらして、

あたしのお弁当箱にある卵焼きに目を向けた。


「これ、いる?」

「まぢ?やったぁ!サンキュー」


あたしがあげた卵焼きに満足したのか、

耶弥は早々と話しだした。

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