キススキ
「仁奈ぁいるー?」


「うわっ!」

ドサドサドサ―――――


あたしは

いま読んでいた「少女漫画」

を、必死に背中の後ろへ回した。


「なぁに隠してんのかなぁっ」


お姉ちゃんはまるで

面白いおもちゃでも見つけた

赤ん坊のような目つきで

あたしの背中の方に視線を向ける。


バレたかぁ......。


「あぁ、またこんなエロ漫画。」

お姉ちゃんは漫画を取り上げて、

あたしのほうにピラピラ見せつける。


「返してっ!」

お姉ちゃんはポイっと漫画を投げて、


「あんたもそろそろ現実見なさいよー」

と一言言ってリビングに戻っていった。


あたしもお姉ちゃんを追って

リビングに向かった。
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