キススキ
主語もなんにもなく、


「意識してんでしょ?」

って聞いてきた。

「は?なにが?」

ほんとあたし今日おかしい。

こんな愛想なく答えたの、

お姉ちゃん以来だ。


「俺の事、ちょっとは分かった?」

俺の事?

なにそれ。

キスのこと?

キスが上手いからって自慢?


「なによそれ。自慢?」

「自慢じゃねーけど...。分かった?」

「わっけわかんない。勝手にキスしないでよ!」

何言ってんだあたし...。大声で・・。

外山くん困ってるし...。

みんな見てるよ...。

あーぁ・・。皆にもばれちゃった。


「すぐそうゆうことする人だったの?」

「違うってだからあれは...。」

「さいってー...ただの遊び人じゃん。」


自分が思わず立っていることに気づいた。

今更ながら、正気に戻った。

外山くんなんにもしてないじゃん・・。

あたしがキスしたいって言ったんじゃん。

イエスっていったのあたしじゃん・・。


「もう名前も呼ばないで!もう近寄らないで!」


気づいた時にはもう、

周りには誰もいなくなっていた。
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