キススキ


夏美先生...。もう帰ったかな...?


9時かぁ・・。

もう帰ってるよなぁさすがに・・。


「まぁそれは大変ですねぇ。」

「そうなんですよォ。」

って...。何話しこんでるのよ。

夏美先生挨拶しに来ただけじゃないの?

40代のお母さんと

1時間以上話しこんでるなんて...

おばさんになる日も近いね。夏美先生。


「おっ、仁奈ーっ、大丈夫かぁ?!」

「お姉ちゃん......。」


お姉ちゃんは退屈してたのだろう...。

あたしが来た瞬間、

暇つぶしの相手を発見して目が光った。

まぁこっちにおいでとでもいうように、

自分の隣を指さしてソファを叩いた。


「どう?よくなった?」

「うん、まぁね。さっきよりは。」

嘘じゃない。

寝たらほんとによくなった。

でも・・。学校には行きたくないな......。


「そう、じゃあ明日休まなくてすみそうじゃんっ」

「だね。」

「なによォしけた顔しちゃってさっ。」

「なぁんでもないお~...。」

あたしはあくびをしながら応えた。

あくびで涙がこぼれそうになる...。


違った。

涙がこぼれそうになったから、

わざとあくびをする振りをしたんだ。
< 34 / 43 >

この作品をシェア

pagetop