キススキ
ハイキックなんて...。

出来るはずがない...。

「ビックリした?」

あたしは頭が真っ白で、

質問に応答することもできなくなっていた。


「学校・・。行かないの・・?」

「うん。」

その相手はやっぱり...

「外山くん。」

だった。

「なに?」

まだ走ってきて疲れてるのか、

肩を上下させながら返事をした。


「怒ってるでしょ。」

「うん。」

あんなにひどいこと言って、

怒る人がいないわけがない。


「外山く・・・。」

「仁奈ちゃん見て、ほら。」

あたしの言葉をさえぎって、

外山くんは左側を指さした。


「運河...?」

いつの間にかあたしは、

学校からそうとう離れた所まで

やって来てしまったみたい。

その証拠に、この風景を見るのは初めて。


「ここ、俺の好きなとこ。」

外山くんが漏らしたその言葉には、

なんだか切なさが混じっていた。
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