キススキ
こんな切ない目をしている

外山くんを見るのは初めてかもしれない。

まだ会って数日しか経ってないけど、

悩みなんてなさそうな人だったから。


「すげーきれいでしょ?」

その言葉通り、

すごいきれいな場所だった。

花の1つもないけど、

運河が透き通っていて.....。

「気に入った?」

「う、うん、」


外山くんはあたしの顔を

そっと、ゆっくりのぞいた。

そのとき向けられた笑顔を見たら、

すごい苦しい気持ちになった。


「ごめんなさい。ひどい事言って...。」

「一生許さない。」

「ほんとすいませんっ、許して下さいっ」


一生許さないって言ったくせに、

なんでか笑ってる外山くんを見た限り

許してくれてるみたいだったけど、

あたしはわざとらしく頭を下げた。


「しょうがねーなぁ、じゃあ...。」

「じゃあ...??」

「俺にキスしてくれない?」
< 40 / 43 >

この作品をシェア

pagetop