キススキ
「あの...ごめんね、面白くなくて...」

「ぷっ...ははっ...。」

あたし真面目に謝ったはずなのに、

人目も気にしないで大爆笑した栄太。


「何言ってんのー?面白いもなにも関係ないって。」

「え、な、なんで?映画は面白いのを...」

「だから、俺は仁奈といるだけで楽しいの」

「え・・。」


顔がポーっとなっていくのが

鏡を見ないでも分かった。

どうしたのよあたし...。

こんなに頬熱くなっちゃって...。

大好きなキスだってされてないじゃない...。


「行こう」

「う、うん。」


あたしが動揺してるのを見破ったのか、

栄太はまた笑いだした。


この日、

新婚デートは栄太の笑いが絶えなかった。
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