キススキ
案の定、ほぼ女子全員は

外山栄太王子の虜。

目が外山栄太を逃さない。


あんなイケメンとのキス...。

もう考えただけでクラックラ・・。


「仁奈ぁ!」

「んー?」


あたしの前の席の

耶弥(ヤヤ)は、すごいテンションで

あたしに話しかけてきた。


「超かっこいいよねーっ」

「え、あ、うん」


主語はないけど、

なんのこと言ってるかは分かる。


「なによぉ、仁奈だって王子相手にまた妄想してたんじゃないのぉ?」

ギクッ――――――

「図星ィ~」

「べつにしてないよー」


すみません、してました。


「ふぅん、そうだっ!この前貸した漫画っ」

「あぁ、ちょっと待って」

あたしはお姉ちゃんに取り上げられそうになった、

あの少女漫画を耶弥に返した。

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