ラスト・ライフ
でも、5年最後に担任が泣いたのは吃驚した。
卒業でもないのに。意味分かんないよね。
成長したなあ、だって。馬鹿じゃないの。
「愛美は、6年になったら何先生がいい?」
「どの先生もイヤ。6年になったら厳しいしさ」
「だよね。でも、候補は浅木先生かな?」
「えーあの人ぉ!?あたしは無理ー」
あはは、と笑っていたら愛美の携帯がなった。
きっと凛子。そうしかない。
毎日のように愛美に電話をし、家に来る。
あんたストーカーなの?って言いたくなる。
「ちょっとでるね。…もしもし?」
『あ、愛美?あたし。凛子だけど』
「分かってるよ。で、なに?どしたの?」
『今、誰といるの?』
「……高木と」
高木、だって。自分の苗字が嫌になる。
凛子なんていなくなればいいのに。存在すら消えてほしい。
あんたなんか、あんたなんか、いる意味もないの…!
『まじでー?明日高木、くんの?』
「用事、だって」
『来ねえのかよ。今まで相手してやったのによ』
「…伝えとくね」
『じゃあね』
「うん。…(ピッ)何の用だったんだろ、凛子」