ラスト・ライフ
「おはよう!」
「あ、おはよー」
「ねえねえ、3組になったんだって、あの子」
「ええー!あの転校生でしょ?」
春、私は5年生に進級した。高学年。
小さい子が駆け回る姿を見て、新入生を見て、お姉さん、って感じがした。
誰がどこのクラスにいるか、っていう声も、何もかも聞こえない。
笑いあったあの時間はもうない。進級した嬉しさなんて、忘れた。
「じゃあ、ここを…18番。3行目まで読め」
セーフ。私の次の子だ。1人心の中でガッツポーズ。
そう、今は国語の授業中。肌寒くなってきた9月の下旬の2時間目。
肌寒いけど、暖かい日差し。体育、風が強くて寒そうだな。
「凛、凛!」
「え?」
「さっさと気づけよ馬鹿!さっきから呼んでんだよ!」
「ご、ごめん…」
「先生が気づいたら凛のせいだから。あたしのことは言うなよ!」
私が学校に行きたくない理由はただ1つ。凛子がいるから。
凛子は私を下っ端のように扱う。同じ学年、なのに。
私は背が小さい。でも、気が弱いほうでもない。明るいほうだと思う。
けど、凛子には逆らえなかった。そんな自分が、悔しい。