甘い夏  煙草の匂い



栄四郎は自分の腰の辺りで、手の平を水平にヒラヒラさせて言った。

「そりゃ子供だろう…な?龍…」



…ダッシュ!!!


「え?おい!社長は?」

「ニューニュー!」

「…へ?」


『糖尿で入院』を、慌てて言ったらこうなった。


…後で、穴があったら…あいつらを埋めてやる…。




エレベーターに乗ったはいいが、凄くスピードが遅く感じる。


ちっ!階段で行けばよかったか?


エレベーターの扉が開くと同時に飛び出すと、後輩のバンドマン達とぶつかりそうになった。

「うわっ!…お…おはようございます…。」

「あ、オス。」



挨拶を軽く受け流す…それどこじゃねぇ!



そう広くないエントランスを見回すと、ガラス戸の外側で、チマチマと動く人影が見えた。



…いた!



駆け寄りたいが、一応俺も芸能人…。人の目を気にし、真那が中に入ってくるまで待つ事にしよう。




…早く会いたい。ギュッてしたい。キスしたい…。

ほんの数日前も会っているのに…。


会う度に、ハグもキスもしているのに…。



…重症だな?俺…。






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