甘い夏  煙草の匂い



外のゴミ拾いをしている真那の背中を愛しく眺めていたら…

…どこかで見た顔…?


「あっ、りゅ~う~!」


ピョンピョン飛び跳ねる…これまたイケイケねえちゃん…?


「…彩?!」


入り口の警備員に「ちょっとごめんね」と言いながら入ってこようとしているが、当然許されず、口を尖らせながら顎で「外に出ろ」と指示してくる。


バ…バカ!数メートル先には、真那がいるってのに!バレるっ!!

急いで外に出て、真那とは反対方向に彩を連れ出す。


「ちょっと!痛いっ!」

「お前、何してんだ?!」

「何って…病院の帰りに通りかかっただけよ?」

「病院?」

「そ。パパの。」


…そっか。そうだったな。毎日真那の事ばかり考えていたから、彩の事情なんてすっかり忘れていた。


「わり。忘れてたわ。」

「いいわよぉ。それより、何でそんなに慌ててたの?」


好きな女が近くにいたから…ダメだ、何故か言えねぇ…。


「別に…なんでもねぇよ。」




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