甘い夏 煙草の匂い
「ふぅん…ね、それより、彼女できたの?」
「バ…離れろって!」
興味津々な顔で、腕に絡み付いて来た。
彩の自慢の豊満な胸が…
「…お前、痩せた?」
「…え?」
良く見ると、少し頬も痩けているような…
「ん~…ちょっとだけ?」
スッと離れてごまかす様に笑うが、全体のシルエットが細くなっていたようだった。
「…酷いのか?」
こういう場合、彩のパパの事を“彼氏”と呼ぶのか“パパ”と呼ぶのか…。
「まぁ…それなりにね?覚悟はしてたんだけどねぇ…。」
…考えているうちに何も言葉にできなかったが、意味は伝わったようだ。
「それよりっ!好きってコ、もうモノにしたの?龍太クン寂しがってない?」
「ちょ…よせ!ドコ触ってんだ?!」
物陰に隠れているとはいえ、ここは外…。誰に見られるか…。
「早く龍太クンを助けてあげてね?私はもう力になってあげないからね。」
手をヒラヒラさせながら過ぎ去って行った…。
どんな時でも、背筋を伸ばして前を見る彩。
どうか、心から笑える日が、彼女に訪れますように。