甘い夏  煙草の匂い



ようやく自分の元へ来た真那を、ソフトに抱きしめる。


「他に好きなヤツがいるってんなら、仕方ないけど諦める…。

でも、そうじゃないなら…」



「…?」



急に途切れた俺の言葉に、不思議そうな顔で見上げる真那。


『好きなヤツ』…と言った後、何故か進也の顔が浮かんでしまった…。

ヤバい…やっぱり、嫉妬しているのか?俺。


「…上杉さん?」


見上げたままの顔に、ゆっくりと近づいて行く…と、小さくビクッとして、少し顔を引く真那。


「…ダメ?」

「あ…だって…食べてすぐだし…」



…ったく、煽んな。



「いい…今したい…」

「あっ…ん…」


予定通りに唇を塞ぐと、お約束通りに甘い声が漏れる。


「ん…っ!」


俺を突き放そうと胸を両手で押してくるのも予定通りだが、そんな事をされると離すまいと抱きしめる腕に力が入るのも…またお約束。


抵抗はするものの、しても無駄かと勉強したのか、ほぼされるがまま。


…だから、勘違いしちゃうんだよ?真那チャン…。





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