甘い夏  煙草の匂い

雷のお誘い








帰りの車内、真那に言われた2言にいつまでも考えさせられていた。


― 1つ目 ―

『…そんな事、できません。』


「俺んちに来い」と言った返事が、あっさりコレ。

ただ、今までの「イヤ」や「ダメ」と違って、何故?と聞き返したくなるようなセリフ…。そこにずっと引っかかっていた。


― 2つ目 ―

『痺れるんです…体が。』



…俺にキスされる度に、痺れるんだとさ。体が。

だから、変なクスリとか使ってないか?…って、なんじゃそりゃ?!


これを聞いたのが、帰り際で良かった。キスしている最中だったりしたら、間違いなく襲っていただろう。



「…恐ろしい女…」





煙草のフィルターを噛んでいると、真っ黒な空がキラキラっと光った。


花火大会?

いゃ、ポツポツと雨も降り始めてきた…雷か。



真那は怖がっていないか?


もうすぐ家に着く。着いたら電話してみよう。




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