甘い夏  煙草の匂い



「じゃあさぁ、みんなでお祝いしよっかぁ?」

「お祝い?…ってゆーか、何で電話してきた?」

「ん~…頑張ってるかなぁ?って。ついでに、車だしてくれないかなぁ?って。」

「…なんのついでだ?」

「お酒切れちゃったのぉ!お願い!」

「やだよ。雷なってんだろ?」

「えぇ?歩いてコンビニに行けって言うのぉ?雷なってんのにぃ?」

「知るか。」

「…どうせ、携帯取りに行くんでしょ?ね、ついでに。ね?」

「…くそぉ。」


…負けた。



進也をギロリと睨むが、とっくに顔をそらしている為、目線が合わない。


3人で出るのかと思ったが「じゃ、気を付けて」と進也は百合子の部屋に戻ったので、百合子と2人で出掛けるハメになった。



「…車ん中でゲロんなよ?」

「失礼ね!私も一応アイドルよ?」


…アル中のな。




もう一度、道路に出る。さっきよりも雨が強くなっていた。


「煙草くさぁい!」

「うるせぇ。我慢しろ。」

「窓、開けてもいぃ?」

「…ふざけんな?」





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