甘い夏 煙草の匂い
「真那、急に行ったらビックリするかな?なぁ、電話しといて。」
「携帯、忘れてきたんでしょ?」
「は?百合子のは?」
「あぁ、私のがあったかぁ。」
…コイツは…。
なんでもソツなくこなす進也でも、彼女の飼育には失敗したか…。
「…ん~?出なぁい。お風呂かなぁ?」
どんどん雷の音が大きくなっていく…。
「まさか、あのボロアパートに雷が落ちたとか?」
「えぇ?大変!地震はもぅ経験してるからぁ、後は火事と…」
「「オヤジ!」」
2人で「アハハ」と笑いあってみせる。
ハハ…どうでもいいや。
しばらくして、真那のアパートに着いた。
「わりぃ、ちょっと行ってくるわ。」
「はいはいぃ。」
車内に百合子を残し、階段へと大股で走る。
少しの距離なのに、髪の毛から滴がポタポタ垂れるほど雨が強い。
雷も…頭上でなっているかのように激しさを増している。