甘い夏  煙草の匂い



「真那、急に行ったらビックリするかな?なぁ、電話しといて。」

「携帯、忘れてきたんでしょ?」

「は?百合子のは?」

「あぁ、私のがあったかぁ。」


…コイツは…。



なんでもソツなくこなす進也でも、彼女の飼育には失敗したか…。


「…ん~?出なぁい。お風呂かなぁ?」


どんどん雷の音が大きくなっていく…。


「まさか、あのボロアパートに雷が落ちたとか?」

「えぇ?大変!地震はもぅ経験してるからぁ、後は火事と…」

「「オヤジ!」」


2人で「アハハ」と笑いあってみせる。




ハハ…どうでもいいや。




しばらくして、真那のアパートに着いた。


「わりぃ、ちょっと行ってくるわ。」

「はいはいぃ。」


車内に百合子を残し、階段へと大股で走る。

少しの距離なのに、髪の毛から滴がポタポタ垂れるほど雨が強い。

雷も…頭上でなっているかのように激しさを増している。





< 122 / 206 >

この作品をシェア

pagetop