甘い夏  煙草の匂い


「なんで?金に困ってんのか?」


「ん~…早くパパに…借金返したいし…。」


?????



「パパ?親のパパ?イケナイ方のパパ?」


「へぇ?イケナイ方って…?」


「んじゃ、親だろ?

借金とか気にする必要ないんじゃねぇの?」


真那は、コップに残っていたサワーを全部口に含むと、ゴクッと喉をならし、飲み込んだ。


そして、ヘラッと笑い…


「…大人の事情ですよぉ?大人のぉ。」



「…ハイハイ。大人でしゅね~。」



ったく。ちょっと心配してやったのに…相手にしてられん。



真那に背中を向けて、テレビをつけようとリモコンを手にした。



「ちょっとぉ!今、バカにしましたぁ?」


「してませんよ~。」


テレビをつけると、バラエティ番組から笑い声が聞こえてきた。



「もおっ!上杉さんってばっ!」


「うるせぇよ。22だろうが未成年だろうが、26の俺から見たらガキンチョなんだよ!」


「ガキンチョじゃないもん!」





…次の瞬間、左肩をグイッと捕まれ、斜め後ろに倒されそうになった。



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