甘い夏  煙草の匂い





「…キス以上の事はっ
しないって…っ…」






― そうだった。

なんでそんな事言ったんだ?…俺…。


「…う…上杉…さん?」



「やめて」と言われても止まらなかった俺の行動がピタッと止まり、少しビックリしたように真那が尋ねてくる。


あ~…バカな約束しちまった…。


この際、約束なんてどうでも良く思うが…。


今、真那を無理矢理抱けば、間違いなく嫌われてしまうだろう。


一時の感情で、真那を捨てたくない…。



ツ…ツラいが…。



何事も無かったように真那の目を見つめる。

「ん…約束だから…

キス以上はしねぇよ…。」


…散々しちゃったけどね…。


そう優しく言うと、ホッとした顔で緊張が弛んで行くのがわかった。


そんな真那を見て、再び優しくキスをする。


何度も 何度も …。





― プルルルル ―



突然の機械音に、ビクッと二人で体を揺らす。

いきなり現実に戻され、まだ雷が鳴り続けていた事に気付く。


反射的に携帯を見ると…百合子?


…しまった!すっかり存在を忘れていた!









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