甘い夏 煙草の匂い
「あ…もしもし?」
「もぉ。まだ見つからないのぉ?一瞬寝ちゃってたよ。」
…携帯に出てるだろ?
「いゃ、今見つかった!百合子の着信のおかげ!サンキュ!」
テキトーな事を捲し立て、急いで電話を切る。
不思議がってる真那に、なぜ百合子から電話がかかってきたかの経緯を話すと、「早く!車に1人じゃ危ないです!」と俺を追い出そうとする。
「…そういや、俺とのキスで体が痺れるって言ってたろ?」
「あ…はい…。」
「それって、真那が俺のキスで感じてる…って事なんだぞ?」
「…え?」
ポカンとしてる頬に、チュッと軽くキスをする。
「…おやすみ、ハニー。すぐ鍵掛けろよ?」
俺が出た後に、鍵を掛けたのを確認し、急いで車に戻る。
「遅ぉい。真那にちょっかい出してないでしょうねぇ?」
百合子の存在に、初めて助けられたと思う。
「…出してねぇよ。キワドいパジャマ着てたけどな。」
「キワドい?」
「キャミソールみたいな、下着みたいな…」
「あぁ、ピンクのストライプの?」
「…なんで知ってンの?」
「あたしがあげたやつだから。」
…コイツさえいなければ…。