甘い夏  煙草の匂い



「んじゃなんで、真那が寄り添う必要がある?」

「寄り添うって…キャアキャア言ってただけだろ?」



…なんだ、そっか。


「…何?まだ疑ってんの?」

「いゃ、理解した…けど、なんか…こう…」

「こう?」



…何か、頭の奥で引っかかるモンがある。


上手く言えないけど、それだけじゃない、もっとモヤモヤした感じ…なんだろう?


「…とにかく、これは立派な犯罪だな。警察に通報しよう。」

「そうだな。真那に今夜伝えよう。」



迎えに行くのは9時か…。


「…なぁ、俺、迎えに行ってくるわ。百合子帰ってくんの待ってらんねぇ。」

「そうだな。そのまま空港まで迎えに行くか?」

「…何で空港?」

「写真集の撮影で、タイに行ってたから。聞いてなかった?」

「この間、ツアーの話したら『私もぉツアー中』って言ってたぞ?」

「…デタラメ。」



…あのアル中…。




そうして、“デタラメアル中アイドルモドキ”を後回しにし、大切な真那を迎えに行く事にした。



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