甘い夏  煙草の匂い



「おわっ!」


俺もソコソコ呑んでるから、バランス感覚が狂い、安易に倒れそうになる。



「ん~…。」



真那の声が間近で聞こえたかと思ったら…


真那の尖らせた唇が俺の唇に押し付けられ…



キスしていた。





…それ以上もそれ以下も求められないような、重なるだけのキス。


こんなキスをしたのは…いつ以来だろう。



わずか数秒の出来事だったが、凄く長い時間に感じられた。



そっと真那の唇が離れると



「…ね?ちゃあんと大人でしょ?」



ニヤッと笑い、ゴロッと床に転がった。



「えっ…おい?」





…寝てます。




無邪気に笑う寝顔を見つつ、心の中でこう呟いた。








…勘弁してくださいよぉ…。






< 14 / 206 >

この作品をシェア

pagetop