甘い夏 煙草の匂い
「おわっ!」
俺もソコソコ呑んでるから、バランス感覚が狂い、安易に倒れそうになる。
「ん~…。」
真那の声が間近で聞こえたかと思ったら…
真那の尖らせた唇が俺の唇に押し付けられ…
キスしていた。
…それ以上もそれ以下も求められないような、重なるだけのキス。
こんなキスをしたのは…いつ以来だろう。
わずか数秒の出来事だったが、凄く長い時間に感じられた。
そっと真那の唇が離れると
「…ね?ちゃあんと大人でしょ?」
ニヤッと笑い、ゴロッと床に転がった。
「えっ…おい?」
…寝てます。
無邪気に笑う寝顔を見つつ、心の中でこう呟いた。
…勘弁してくださいよぉ…。