甘い夏  煙草の匂い



進也が手に持っていた物を、俺の足元めがけて投げ捨てる。


勢いよくバラバラになった…写真?

数枚拾い上げて見てみると…


「…なん…全部、真那?」


全て隠し撮りされている真那の写真…中には、窓の外から部屋の中を写されている物もあった。






― ゴト ―






「真那?!」



真那の部屋から、急に物音がした。

持っていた写真を投げ捨て、急いで真那の部屋に戻る…と、真那は意識を失い、倒れていた。


「真那…おい!」


真夏だと言うのに、真っ青な顔でぐったりしている…。



…クソォ!あいつ…殺す!!



「…龍太、車に連れてってやれ。」

「わかった…。ソイツの部屋に、不動産か管理会社の契約書があるはずだ。それを探してくれ。」

「…何で?」

「ソイツの情報がわかる。それで通報しよう…。」

「わかった。」



捜索は進也に任せ、俺は真那を車に運ぶ。

…あんなクソ暑い部屋よりはマシだろう。


後部座席をフラットにし、真那を寝かせる。


小さな体…。


この体で、どれだけ抵抗したんだろうか…?



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