甘い夏 煙草の匂い
「っつーワケで、一緒に来てくれないか?百合子。」
進也が百合子の腕をとり、催促する。
「真那の身の回り品を持ってきたいんだけど、俺らが下着とか探ったらマズいだろ?」
「そうね…わかったわ。」
「疲れてるとこ、悪いな。」
もう一度、玄関先まで見送る。
「お互い様よぉ。んじゃ、行ってくるわね。」
海外から帰って来た百合子は、お茶も飲まずにまた一仕事をしに出て行った。
…さて、真那が起きた時の為に、何か食うモン用意しておくか…。
米を磨ぎ、ジャーに入れセットする。
ちょっと米を磨いだだけで…着ていたシャツがビショビショになってしまった…。
着替えを取りに、そっと寝室のドアを開ける…まだ寝てるな?
クローゼットをゴソゴソし、Tシャツを取り出…
「う…」
…やべ、起きた?
そっとベッドサイドに座り、様子を伺う。
少し苦しそうに顔を歪めた後、ゆっくりと瞼が開いた。
「…真那…?」