甘い夏 煙草の匂い
「あ~…ただいまぁ。」
玄関から、疲れきった進也の声が聞こえてきた。
「まじ、おせぇよ…。」
「あぁ…わりぃわりぃ…あれ?真那は?」
床に転がってる真那に視線を向けると
「ありゃ、寝ちゃったの?」
「…最悪だった…
あれ?百合子は?」
「あ、玄関に置きっぱなしだ。」
置きっぱなし?
進也に担がれてきた百合子を見ると…寝てる?
「…コンビニの前でゲロッて、そのまま起きねぇ…コイツ。」
「…うわぁ。」
最悪…。
「真那は?疲れて寝ちゃった?」
「いや、百合子と一緒。」
「ゲロッた?」
「ゲロッてない。」
「?」
とりあえず…といった感じで、百合子をベッドに置いてきた進也。
冷蔵庫からビールを持ってきて、やれやれと座り込む。
「ジジィ。」
「うるせ。
真那、どした?」
「酔い潰れたよ。サワーで。」
「はぁあ?」
進也の過剰な反応にビックリして、煙草の灰を床に落としてしまった。