甘い夏 煙草の匂い
「その…倒れた人が、起きてすぐ風呂とか大丈夫なんでしょうか?」
「ん~…出来れば、今日は避けた方がいいだろうなぁ。」
「やっぱ、そうですか。」
「水分は摂らせたか?」
「あっ…まだです。」
「じゃあ、なおさらダメだよ。スポーツドリンクはあるかい?」
「スポーツドリンク…」
ある。
俺の、夏の定番商品。
「あります!」
「それを飲ましてあげなさい。冷蔵庫で冷えてるなら、少しお湯を加えて常温にしてあげてね。
飲みたいだけ飲ませてあげる事。それだけ体が欲しがっている証拠だから。」
「はい、ありがとうございます。」
…スゲェ。やっぱ医者だよ、この人。
ただの百合子の友達じゃなかったか…。
すぐにお湯を沸かし、言われた通りに常温のスポーツドリンクを用意した。
「真那、これ飲め。水分補給だ。」
「え?これ…」
「ポ〇リ。お湯でちょっと薄くなったけどな。」
「…はい」
大きめのマグカップは、真那が持つとさらに大きく感じる。