甘い夏  煙草の匂い



濡れタオルと着替えを出してやり、俺はおにぎりに取り掛かった。

具…具…。何入れる?

梅干しとかあったっけ?鮭…焼いてる暇ねぇ。

ツナマヨは?ツナツナ…切らしてる。

仕方ない、具無しで行くか?海苔は…味付け海苔?これいつのだ?

…お、まだいける。ラッキー。



一人でブツブツ言いながら、たかがおにぎりに時間を掛けてしまった。




「お待たせ…遅くなって悪ぃ。」

「すみません、ありがとうございます。…あの、ところで…」

「どした?」

「短パンって…もっと小さいのないですか?」


よく見ると、ベッドから上半身だけを起こして、下半身はタオルケットに入ったままだ。

上は俺のTシャツに着替えていたが、一緒に出していたハーフパンツは畳まれて置いてあった…。


…もしかして…


「あの…弛くて、履いてもすぐ落ちちゃうんです…」


…お約束の、あの格好ですか?

男ならみんな大好きな、お泊まりの朝に「シャツ借りちゃった」っていう…アレですか?


…イヤイヤイヤイヤ、冷静に!俺!






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