甘い夏 煙草の匂い
「…社長。」
「…?何が?」
「だから、父親。」
「…??どこの?」
「…ウチの。」
???
!
「社長?」
「そう。」
「社長って…ウチの社長?」
「うん。」
「あの、ひげオヤジ?」
「うん、ひげオヤジ。」
さっきまで呑む気にならなかったビールを、勢いで半分位飲んでしまった。
「あぁ…親戚かなにか?」
「いや、赤の他人。」
「…何で知り合ったの?」
「…逆ナン?社長が、売春持ちかけられたって…。」
「…誰に?」
「…真那。」
…ったく、最近の若者は…。
「なんだ、ヤリ子だったのか。」
ちょっとガッカリしている自分を落ち着かせようと、再び煙草に火を点けた。
…ガッカリ?なんでガッカリしているんだ?
すると、フルフルと首を横に降り、静かに話しを続けた。