甘い夏  煙草の匂い



結果的に、真那に体を許させた…。

確かに最後まではできなかったが、強気に出ても悪くないと思う。

もし、これで拒否られでもしたら…それこそ、気が狂うだろう。



「お願…待って…」


この状況で「待て」かい…。


「何で?何でそんなに…」

「わかっ…らないんです…」

「わからない?」

「好きって…龍太さんは、なぜ私が好きなんですか?」

「え?なぜって…」


好きなモンは好きなんだろ?


「真那は、人を好きになんのに理由を求めんのか?」

「龍太さん…」

「確かに『優しいから好き』とか『賢いから』とか言うヤツもいるけど、そんなんじゃねぇだろ?

本気で惚れたら、ソイツがこの世に存在してるってだけで嬉しくなる。

理由なんかいらねぇよ。今目の前にいる…お前が好きなんだ。」


…ったく。こんなこっ恥ずかしい事、何度も言わせるんじゃねぇよ。

ここまで言わせといてノー…って事ねぇよな?




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