甘い夏  煙草の匂い



「龍太さん…」

フイと横を向き、ボロボロと大粒の涙を溢していた。


「ごめんなさい…もう少し…もう少しだけ待って下さい。」


『ごめんなさい』のフレーズに、一瞬背中がヒヤッとした。


「わからないんです…自分が…。こんな風にされたの…初めてだし。」

「こんな…?」

「そんな風に、男の人に好きって言われたり…優しくされたり…。

だから…私…混乱してるかも…」


「キャパ超えてます」って事かぁ…。

これじゃあ、今すぐ返事ネダるのは無理っぽいな。



「真那…これだけは約束して?」


涙で濡れた頬を優しく包み、俺の方に向ける。


「真那の中で答えが出たら、すぐに教えて?」

「…はい。」

「それと、他の男に声掛けられても、ホイホイ着いて行かない事。」

「…え?」

「他の男を見るのも禁止…にするかな?」

「え?もおっ…」


少し笑って見せ、目尻にソッとキスをする。


「返事は?」

「…はい。」



そして、時間が許す限り何度もキスをした。





さあて。



…どのくらい待つのかな?僕…。






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