甘い夏  煙草の匂い









「契約を取り消し…」


ブーっ!!!


「龍…!おまっ…汚ぇ!」

「ゲホッ…すんま…」



社長の言葉にビールが変なトコに入り、思いっきりむせってしまった。



仕事が終わり合流し、会員制バーの個室に連れて来られたモンだから…。

ただでさえビクビクしてんのに、個室って…。



「と…取り消しって…」

「あぁ。もう真那をあんなトコには住ませられん。」

「真…那?」

「そうだ。」



契約…?住ませ…?


ああ、アパートか…。

ビックリした…。



「そうですね。もっと早くにそうすべきでしたね。」


急に気が大きくなり、ソファにもたれながら偉そうな事を言う俺。


「んな事はわかってる。お前にも経緯は話したろう?」

「でも、俺だったら絶対に反対してあんなボロアパートになんか住まわせないですよ。」

「俺だって反対したさ。しかし、真那に必死で頭を下げられちゃあね…。」



…わかります。





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