甘い夏 煙草の匂い
持っていたロックグラスをテーブルに置き、真那の体を持ち上げる。
思っていたよりも遥かに軽く、16歳というのを実感した。
…こんなに小さい体で、いったい何を思って生きているんだろう…。
飯とか食ってんのかな?今まで食わせてもらっていたのかな?
抱えた真那の体温がやけに熱く感じ、抱きしめたい思いに駆られていた。
寝室に入り、百合子の隣にそっと降ろす。
「…ふ…んん。」
気持よさそうな顔をしながら、また寝返りを打つ真那。
そっと髪を撫でて、寝室を出た。
「…どうした?」
「いや、真那を百合子の隣に寝かして来た。」
「そっか…。」
「…そんで?」
「え?」
ウィスキーを一口呑んで、吐き出すように答えた。
「…真那の話。もっと聞きたい…。」
進也はビックリした顔で俺を見た。
「なんだ?惚れたか?」
苦笑いしながら問う進也に、俺は嘘がつけなかった。
「…わかんねぇ。
正直、わかんねぇけど、このままにはしておきたくねぇんだ。」
もう一度、ビックリした顔で、俺を見る進也。