甘い夏 煙草の匂い
「アホ。16だぞ?」
「知ってる。てか、今聞いた。」
「…ウチのバンドから、犯罪者を出したくねぇぞ。」
犯罪…か。
ごもっともです。
俺も22・3位なら『年の差なんて関係ないね!』…なんて言えるんだろうけど…。
もう26。四捨五入すりゃ、立派に30です。
「…お前らの友達だろ?真那は。
俺も、どうにかしてやりたい…かな?」
少しだけ逃げ腰のセリフに、ははっと笑った進也。
「…社長も、別れた奥さんのトコに、同じ位の娘がいるだろ?
なんか、他人に見えなかったんだって。」
「へぇ、初耳。」
ただのエロ心じゃなかったわけか。
「『それじゃあ、ウチの会社で働きなさい。
住む所も手配してあげるから、私の娘になりなさい』…って。
それから、真那の親戚んトコ行って、500万で話つけてきたんだって。」
「500?!」
「そこに、百合子も付き添って行ったらしいよ。」
「…だから、そんなに詳しいのか。」
「まあな。」