甘い夏 煙草の匂い
「…お前が、どうにかできる相手じゃない。」
「…なんでそう言い切れるんだよ。」
「本気の愛情を持った相手じゃないと、真那は預けられない。」
…そんなに、妹思いなんですか?進也さん。
「…オニイサマ…」
「ざけんな!」
あら、冷たい。
「…本気かもよ?俺。」
「…同情と愛情は違うんだ。やめとけ。」
同情…。
愛情…。
俺のこのキモチは、どっちなんだろう?
「…さっき、真那がヤリ子かもって思った時…
すごくドス黒い感情が渦巻いていた…。
でも、違うってわかった時は、すごくホッとしている自分がいた…。
それって、同情に入るんかな…?」
進也は、頭に両手を当てて、大きなため息をついていた。
「とりあえず、今日はお招きありがとうございました。
…アイツと会えて、良かったかも。」
ギロッと睨む進也。
「…マジで、ごかんべん願います…。」
そんな事言われても、もう無理。
…何年かぶりの感情を、中学生のような気持ちで噛みしめていた。