甘い夏 煙草の匂い
「…あの…」
「ん?」
洗面所に向かおうとした俺に、話しかけてきた。
「…この間は…、ごめんなさい…でした。」
真下を向くように俯く真那。
この間…紛れもなく、あの飲み会の日だな。
「あぁ…、あの後、大丈夫だった?」
朝になっても起きなかった真那と百合子。俺達は仕事があったので、そのまま家を出てしまったのだ。
「…はい、百合子さんに送ってもらいました…。」
「そっか。心配したんだよ?」
「え…?」
そう言って顔をあげたら、予想以上に真っ赤っ赤で、吹き出しそうになった。
「いや…ベロベロだったから。」
「ウソ!?」
「いや、ホント。」
「私…何かしましたか?」
覚えてないのかな?コイツ。
…俺にキスした事も?
「『あつぅ~い』って、マッパになってた。」
「!!!ウソ!?」
「マジマジ。」
「…ウソです!だって、服着てましたもん!」
「…俺達が着せたんだって。」
「や…もう!ウソです!もう何も聞きません!仕事します!!」
真っ赤でプク~とむくれた真那は、せっせとエプロンを身につけた。
…ホント、面白いな、この子。