甘い夏  煙草の匂い


洗面所に入り、顔を洗っ…




―グラリ―




ん?なんだ?



立ちくらみかと思ったが、すぐに地震だと気が付いた。


…結構デかいな。震度3か4くらいかな?



そんな事を考えていると、間もなく地震はおさまった。







―ガチャン!ガタガターン!!―



!?なんだ?





リビングに繋がるドアが、ハデな音を立てた。



洗面所から顔を出すと、四つん這いになって逃げようとしている真那がいた。



「真那?!どうした?」



体を抱えて起こすと、ガタガタと震えていた。



「…あ…」



目の焦点は定まっていない。


一体、どうし…





『―数年前の大地震で、両親を―』




ふと、進也の声が頭をよぎった。





「…真那、大丈夫だよ、大丈夫だから…。」


「あっ…逃げ…」


「大丈夫。もう、おさまったから…。」


「おか…おと…」




…俺の声が届いてない…?



…どうすれば届く…?



強く体を抱きしめてみても、震えは止まらない。



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