甘い夏 煙草の匂い
『―同情と愛情は違うんだ―』
…また進也の言葉が頭をよぎる。
…確かに、同情じゃないか?と問われたら、そうじゃないとは言いきれないかもしれない…。
しかし、同情から始まる愛情…があるとしたら、まさに今の気持ちは…ビンゴだ。
―見た目?確かに、カワイイと思う。
―かわいそうだから?…いや、それも違う気がする。
―一緒にいたい?
…そうだ。一緒にいて、とても心地いい。
まだわずかの時間しか共有していないが、確かに心地がいいのだ。
ハニかんだ笑顔や、コロコロ変わる表情…。もっと、真那を知りたい。
そして、隣で笑っていてほしい…。
ただそれだけの感情…。
「…っく…」
腕の中の真那が、また震え始めた。
「どうした?まだ怖いか?」
フルフルと頭を横に振る。
「ん…?どうした?」
怖がらせないように、優しく問いかける。
しかし、真那からの返事はない。
「…真那?」
顔を覗きこんでみたら、大粒の涙を流して泣いていた。