甘い夏  煙草の匂い



「え?どうした?」


「…っ、な…なんでも…ないで…」

「…そんなに怖かったか?もう揺れてないから。大丈夫だから。」


子供に言い聞かせるように話しかけ、背中や頭を撫でてあげる。


「…ホント、大丈夫…です。

ちょっと…びっくりした…だけ…。」


「…まぁ、地震とは予測つかないもんだからな。」

「ちが…」

「え?」

「…ス」

「?」

「…キス。」

「キス?」


コクリとうなずく。


「キスがビックリしたって?」

また、コクリとうなずく。


「…っつーか、『私、大人よ~』っつって、俺にキスしてたじゃねぇか。」

「!いつ?」

「酔ってた時。」

「ウソ!」

「マジ。」

「知らないです!覚えてない!」

「そりゃ、酔ってたからなぁ。」

「ウソです、そんなの!…だって、したことないもん…。」




…この間のキスが、初めてだったって事?



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