甘い夏 煙草の匂い
「…イヤ、大丈夫です。」
なんじゃそりゃ!
愛の告白の返事が「大丈夫」って!
「…もう大丈夫なんで…すみませんでした。」
やっぱり俺の腕から抜け出そうとしている。
「だから、違うって!」
「な…何がですか?」
「好きだって言ってんの!俺と付き合えって!」
「…えぇ?!」
…なんだ?コイツ。
「…何言ってるんですか?」
「…イヤか?」
「イヤです。」
「…。」
うそぉん…。あっさり?
「…てゆうか、何も知らないです、上杉さんの事。」
「…これから知ってよ。」
「私の事…何も知らないじゃないですか。」
「…知ってる。聞いた。」
ハッとしたように、顔をあげて俺を見る。
「…誰に?」
「進也。」
唇をグッと噛んで、今度は下を見る。
「こっちむけよ。」
「…かわいそうな女…とか、思ってるんですか?」
「は?」
「…同情とか、やめて下さい…。」
「同情じゃねぇよ。」
…なんだよ、どいつもこいつも。
「真那、こっちむけって。」
「や…。」
真那の顎を持って、無理矢理顔を上げさせる。