甘い夏 煙草の匂い
百合子のお説教
「…んで?」
頬杖をついた百合子が聞いてくる。
「はい…?」
「はい?…じゃないでしょ?したのはキスだけ?」
「はい…。」
「ディープ?」
「ディープ。」
「はぁあ?」
どんどん不機嫌になってくる…こえぇ。
「…なんでそこで、手ぇだすかなぁ!?」
「なんでって…お前だって好きな男が目の前にいたら、手ぇだすだろ?」
隣に進也がいる事はお構いなしに、百合子に逆ギレする。
「アホか!真那は16歳なんだよ?経験豊富なアンタとは違うのよ!」
「経験豊富って…はっきりスレてるって言えよ!」
「オブラートに包んであげたんじゃないの!」
隣で黙って聞いていた進也がボソっと、
「オブラートって…ババ臭い例え…。」
すかさず百合子の平手が進也の背中に降りた。
あ~ぁ、かわいそ…。
「とにかく!これ以上真那にちょっかい出したら、許さないからね!このエロガッパ!」
プリプリと怒って、トイレに行ってしまった。
「…カッパ…。」
呆れていると、進也がこそっと問いかけてきた。
「お前、セフレ達はどうしたの?」
「あぁ、手ぇ切った。」